東北新幹線の運転見合わせ オイル漏れが原因 再開に約5時間半

2日朝早く、東北新幹線の福島駅付近で線路の点検用の車両からエンジンオイルが漏れ、除去作業などを行った影響で一時、東京駅と仙台駅の間で運転を見合わせました。全線再開までにはおよそ5時間半かかり、JRがオイル漏れの原因を調べています。

JR東日本によりますと、2日午前5時すぎ、東北新幹線の福島駅と白石蔵王駅の間で始発前の線路の点検を行っていた専用の車両から、エンジンオイルおよそ20リットルが線路上に漏れ出しました。

オイルはエンジンの給油口付近から漏れたとみられ、16.5キロ余りにおよぶ区間で断続的に、線路上への付着が確認されました。

作業員およそ70人が吸着マットなどを使って除去作業にあたり、この影響で、東北新幹線は午前7時ごろから、東京駅と仙台駅の間の上下線で運転を見合わせました。

そのあと、午前10時50分ごろから東京駅と福島駅の間で順次、折り返し運転を行いましたが、全線再開までにはおよそ5時間半かかりました。

これにより、東北・秋田・山形の各新幹線で合わせて76本が運休したほか最大で5時間半の遅れが出るなど、およそ4万3500人に影響が出たということです。

JR東日本は「多くのお客様にご心配とご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」とコメントしています。

また、オイル漏れは、2日朝発生した岩手県や青森県などでの地震によるものではないとしていて、JRが原因を調べています。

JR東日本の新幹線をめぐっては
▽ことし1月に上野駅と大宮駅の間で架線の張りを調整する部品が破断し、垂れ下がった架線に走行中の車両が接触したほか
▽先月には福島県の郡山駅でオーバーランするなど、長時間にわたって運転を見合わせるトラブルが相次いでいます。

常磐線 いわき駅と仙台駅間で臨時快速列車運行

東北新幹線の運転見合わせを受けて、JR東日本は常磐線の福島県のいわき駅と仙台駅の間で臨時快速列車を運行すると発表しました。

臨時列車は東京の品川駅といわき駅の間で運行している特急ひたち号2本が延長運転する形で運行されます。

▽下りが品川駅を午前10時45分に出発する特急ひたち9号でいわき駅で臨時快速列車になり、仙台駅には午後3時37分に到着する予定です。

▽上りは仙台駅を午後4時5分に出発する臨時快速列車がいわき駅で特急ひたち26号に変わり、品川駅には午後8時53分に到着する予定です。

JR東日本によりますと、いわき駅と仙台駅の間で運行される臨時列車は自由席で乗車券のみで乗れますが品川駅といわき駅の間で運行する特急ひたち号は全車指定席で乗車券のほかに特急券が必要だということです。

秋田駅では

運転は午後0時半ごろ全線で再開しましたが、秋田駅では乗客たちがダイヤを確認したり予定を変更したりする姿が見られました。

東京から遊びに来ていた小学生の孫の見送りにきていた秋田市の60代の男性は「孫は午前中の新幹線で帰る予定でしたが、午後に時間を変えました。最終的に東京に着くのは何時なのか窓口で聞いても『分からない』の一点張りで困っています」と話していました。

また、秋田県能代市の実家から静岡県の自宅まで帰る予定の40代の男性は「仙台から東京に向かう高速バスを予約しましたが運転が再開されると聞いて少しほっとしています」と話していました。

春から秋田市内の大学に通う孫に会いにきた大分県の70代の女性は「まさか新幹線が止まるとは思わなかった。このあと宇都宮の息子の家に寄ったあと、大分まで帰る予定だったので、どうしようかと不安でした。運転再開と聞いて安心しました」と話していました。

東京駅では

東京駅のみどりの窓口に並んでいた神奈川県の50代の女性は、「予約した新幹線の運転が見合わせになり、臨時の特急に変更しようと思って窓口に並んでいます。姉やおいに会いに仙台に行こうと思っていますがしかたがないので気持ちを切り替えて待ちます」と話していました。

仙台駅では

JR仙台駅では、新幹線の運転見合わせを知らせるホワイトボードが改札前に置かれていて、スーツケースを持った人たちが駅員に状況を問い合わせたり、チケットの払い戻しのために列を作ったりしていました。

東京に行く予定だった40代の女性は、「友人の個展を見に行く約束をしていましたがきょう中に仙台に戻らないと行けないので諦めようと思います」と話していました。

また、小学3年生の娘と東京に帰省する予定の40代の女性は、「子どもの春休みなので動物園に行く予定でした。時間に間に合わないので払い戻しをして車で向かおうと思います」と話していました。

福島駅では

福島駅ではスーツケースを片手にいすに座って新幹線の再開を待っている人の姿が見られました。

改札前では駅員に運行状況をたずねている人や購入した切符を払い戻している人の姿もみられました。

福島駅から北に数百メートル離れた場所には新幹線が止まっていましたが、午前8時35分ごろから福島駅に向かって動き始め、ホームに止まったことがNHKのカメラの映像から確認できます。

停車車両に乗っていた男性「駅の手前で1時間くらい待たされた」

東北新幹線の上り線で、福島駅の手前で一時停車して午前8時半すぎに駅のホームに入った車両に乗っていたという20代の男性は、「車内では故障した車両が福島駅に止まっているというアナウンスがあり、駅の手前で1時間くらい待たされていました」と話していました。

また、東京へ向かう予定だったという福島県伊達市の60代の女性は、「朝4時半に起きて東京で花見を計画していました。楽しみにしていたので残念です」と話していました。

福島市の20代の女性は、「大事な出張で東京に行く予定でしたが、新幹線が運転を見合わせているという情報があり、とりあえず駅まで来て待っています。しかたないのは分かりますが、なるべく早く再開してほしいと思います」と話していました。

JR東日本福島支店の職員「話せることはない」

JR福島駅で対応に当たっているJR東日本福島支店の職員によりますと、「工事車両の故障という情報以外に、こちらで話せることはない」と話していました。

郡山駅「再開の見込みは立っていない」とアナウンス

福島県郡山市にあるJR郡山駅の新幹線の改札では午前8時半時点で「再開の見込みは立っていない」というアナウンスが流れていました。

新幹線のホームや改札では人がごった返すような混雑は無く、車両から降りた乗客が駅員に在来線へ乗り換える方法などを問い合わせる姿が見られました。

専門家 “トラブルが起きたときのシステム構築を”

JR東日本の新幹線で長時間にわたって運転を見合わせるトラブルが相次いでいることについて、鉄道システムに詳しい工学院大学の高木亮教授は「何年かに1回起きるレベルのトラブルが、最近は立て続けに起きている」と指摘します。

高木教授は、部品や機材などを耐用年数ギリギリまで使うことがトラブルの背景にあるとみていて更新を抑えてしまうと、同様のトラブルが続きかねないと懸念を示しています。

その対策として、「古いものを新しいものに取り替えていくのは時間もコストもかかるため、トラブルが起きたときに臨時列車をすぐに動かせるシステムを構築することも大切だ」と指摘しています。

また、「現場は設備が増える一方で人手が減るような状況で多忙になっていて、高い技術力を熟練社員から若手社員に伝えるのが難しくなっている」とも話していました。